大腸ポリープとは、大腸粘膜に隆起する組織のことを指します。
直腸やS状結腸に高い確率で発生し、大きさは数ミリから数センチ程度まであります。
ポリープは腫瘍性と非腫瘍性に分けられます。
非腫瘍性には過誤腫性、炎症性、過形成性のポリープがあります。
腫瘍性は主に腺腫が含まれます。
最も多いのは腺腫で、次に過形成性ポリープが続きます。
特に腺腫が問題で、大腸に100個以上の腺腫ができる大腸腺腫症は、放置すれば100%大腸がんを発生します。
腺腫のポリープは数年かけて増大し、その一部ががん化します。
小さなポリープはほとんど症状がありませんが、大きくなると便潜血や鮮血便の症状が現れます。
若年性ポリープは自然脱落して下血することもあります。
大きなポリープでは腸重積を起こしたり、肛門外に出てしまうこともあります。
大腸ポリープの原因はまだはっきりと分かっていませんが、遺伝子の異常が関係していると考えられています。
遺伝子の異常だけでなく、外的要因も関与しています。
過度の飲酒や喫煙、脂っこい食べ物中心の乱れた食生活、不規則な生活習慣などが影響しています。
これらの要因と遺伝子異常が組み合わさることで、ポリープの形成につながると考えられます。
また、家族性大腸ポリポーシスという遺伝性疾患もあります。
この病気は遺伝により発症し、10代頃からポリープが出来始め、いずれは数百個から数千個程度のポリープを形成します。
放置すると将来的にほぼ100%大腸がんになると言われています。
初期段階ではポリープの大きさが小さいため、自覚症状はありません。
しかし、ポリープが大きくなると腹痛や下痢、腹部の膨満感が現れることがあります。
血便や粘液の混ざった便となることもあります。
割合は多くはありませんが、健康診断の便潜血検査で陽性になることで発見されることもあります。
大腸ポリープの切除にはいくつかの方法があります。以下に代表的な方法を紹介します。
内視鏡スコープの先端からスネアという輪状のワイヤーを出してポリープにかけ、締め付けてから高周波電流で焼き切ります。
コールドポリペクトミーの場合は高周波電流を流さず、締め付けによって切除します。コールドポリペクトミーは切除の際に出血することはありますがすぐに止血され、術後の出血・穿孔リスクが少ない安全な方法です。
ポリープの根元に液体を注入し、隆起させたところにスネアをかけ、病変を通電し切除します。
当クリニックでは、1センチ未満の比較的小さいポリープに限り、日帰りで切除手術を行っています。
このサイズのポリープは、通常、処置中の出血リスクやその他の合併症のリスクが低いため、安全に日帰りで治療することができます。
切除後は、患者様には約30分間の休息を取っていただき、その後は通常通りお帰りいただけます。
1センチ以上の大きなポリープが見つかった場合、その切除はより複雑でリスクが伴います。
特に、出血のリスクや他の合併症を考慮すると、日帰りでの処置は適していません。
そのため、こうした大きなポリープに対しては、入院設備を備えた専門の病院をご紹介し、より安全な環境で治療を受けていただくことを推奨しています。